『VIVANT』第2シーズン第6話(通算第16話・S2E6)が、8月30日に放送されます。
先週、3週間推し続けた野崎の二重スパイ説に答えが出ました。裏切ったのではなく、シンシーへの潜入捜査だった。
ただ、それで終わりではありません。謎が解けた瞬間に、一段深い謎が立ち上がりました。
■★評価は保留を継続します
2クール連続放送の全体像が見えるまで、点数はつけません。★は物語がある程度進んだ段階で改めてつけます。
※ここから先は第15話までの内容と、第16話の予告に触れます。第1シーズンの内容にも触れます。未視聴の方はご注意ください。
■残っている謎は「なぜ」
野崎が裏切ったように見せていたことは分かりました。東条を利用し、別班員の情報を流した。
つまり「裏切った」のではなく「裏切ったように見せる必要があった」ということです。
ただ、肝心なところがまだ説明されていません。
そこまでしてシンシーに潜入しなければならなかった理由は何なのか。
仲間を差し出してまで潜り込む。相当な理由がなければ、あそこまではしないはずです。
そして予告が、その答えの方向を示しました。
「野崎のもう一つの任務」「物語は5年前から始まっていた」
■予告が、第1シーズンの場面を使ってきた
第16話の予告を観て、確信しました。
「物語は5年前から始まっていた──」という字幕とともに、第1シーズンで野崎が乃木に後輩の話をする場面が使われていたんです。
そしてリュウ・ミンシュエンの名前。
続く字幕はこうでした。
- 「シンシー潜入目的は何か」
- 「別班員拉致はなぜか」
- 「世界中を巻き込む大きな渦」
- 「始まりが明かされる──」
第1シーズンが放送されたのは2023年です。3年前に流れた飛行機の中の会話が、いま予告に使われている。制作側が「あそこが起点だ」と言っているようなものです。
そして「世界中を巻き込む大きな渦」。リュウの死が、それだけの規模の話につながっているのかもしれません。
■第15話は、2つの名前で終わった
佐野が語り始めた5年前の話。野崎は北京の日本大使館にリエゾンとして駐在し、裏では北朝鮮に対する諜報活動をしていました。
そして、その下で動いていたエージェントが2人。
- チョウ・ケイシ(張競士)
- リュウ・ミンシュエン(劉銘軒)
この名前が出たところで、第15話は終わります。
正直に書くと、観たときはピンときていませんでした。ただ、わざわざ名前を出して回を終えた以上、意味があるはずです。
そして調べ直して、思い出しました。
■リュウ・ミンシュエンは、第1シーズンに出ていた
第1シーズンの第7話。バルカへ向かう飛行機の中で、野崎が乃木に語った話があります。
乃木が「もしかして、僕のこと」と聞くと、野崎は「つい見ちまうんだよ、似てるんだ」と答える。誰に似ているのかというと、北京時代に可愛がっていた後輩。それがリュウ・ミンシュエンでした。
野崎はリュウについて、こう語っています。頼りなく見えて、実は芯がある。真面目で、自分に好かれようと必死だった。そんなところが乃木によく似ている、と。
そして、リュウはもうこの世にいない。
野崎のために一生懸命働きすぎて、「度を越した調査」をしてしまった。それが原因で命を落とした。
もう少し気を配っていれば死なずに済んだ、と野崎は言います。そして「俺にとっての唯一の失敗だ」と。
■野崎が乃木を気にかけていた理由が、ここにありました
私はこの場面を、なんとなくしか覚えていませんでした。見返して、印象がまったく変わりました。
単に「似ている人がいた」という話ではありません。野崎はリュウを死なせてしまったことを、今でも後悔しています。
だから乃木を見ると思い出してしまう。そして、また同じような人間を失いたくない。
第1シーズンで野崎が乃木に構い続けた理由。追う立場でありながら、どこかで気にかけていた理由。それが5年前の後悔にあったのだと思います。
そしてこの会話の少し後、乃木が野崎の手に自分の手を重ねて言う場面があります。
「あなたは鶏群の一鶴、眼光紙背に徹す」
鶏の群れの中に一羽だけ鶴がいる。書物を読む眼が紙の裏まで貫く。つまり「あなたは群を抜いて優れていて、物事の裏まで見抜く人だ」という意味です。
当時は、野崎への敬意を伝えた場面だと受け取っていました。ただ、リュウの話を聞いた直後だったことを考えると、慰めの意味もあったのかもしれません。
■リュウは何を調べていたのか
ここからが今回の予想です。
私は、リュウが調べていたのはシンシーに関わることだったのではないかと思っています。
並べてみると、こうなります。
- 5年前、野崎は北京にいた
- リュウが「度を越した調査」をして死亡した
- そして現在、野崎はシンシーに潜入している
これだけ並べば、つながっていると考えたくなります。ただ、劇中でそう説明されたわけではないので、あくまで私の想像です。
さらに踏み込むなら、もしリュウがシンシーに関する調査をしていたのなら、それは潜入という形だった可能性もあります。そしてスパイだと見抜かれて殺された。
もしそうなら、いま野崎がやっていることは、5年前にリュウが途中で終わってしまった調査を、自分で引き継いでいるということになります。
■チョウ・ケイシは、裏切ったのではないか
もう一人の名前についてです。
チョウ・ケイシについては、劇中でほとんど何も語られていません。5年前に野崎の下にいたエージェント、それだけです。生死も、現在の所在も分かりません。
それでも、リュウと並べて名前を出した以上、意味があるはずです。
私が考えているのは、チョウ・ケイシがリュウを裏切ったのではないかという可能性です。
リュウがシンシーを調べていて、それが原因で殺されたのなら。誰かが情報を流したことになります。同じ野崎の下にいた人物なら、それができる立場にいた。
そして、チョウ・ケイシはまだ生きているのではないかとも思っています。
ちなみにネット上には、「チョウ・ケイシはドラムなのではないか」という説も出ています。第1シーズンから登場しているドラムを、5年前の人物と結びつける読み方です。
面白い説だとは思います。ただ、いまのところ劇中にそれを裏づける決定的な描写はないので、私は本命とは考えていません。
もっとも、私の「裏切った説」も材料が少ないままの予想です。外れる可能性は高いと思っています。
■リュウは、生きてはいないと思う
ネット上では、リュウの生存説も出ています。
ただ、私は本当に亡くなっていると思います。生きていると考える材料が、いまのところあまりありません。
重要なのは生死ではなく、なぜ死んだのかだと思います。そこが分かれば、野崎がいま何をしているのかも見えてくるはずです。
■だとすれば、これは雪辱ではなく
ネット上には「野崎の潜入は5年前の雪辱ではないか」という見方もあります。
私の感覚では、「雪辱」より「無念を晴らす」のほうが近いです。
野崎自身が「唯一の失敗」と言っている相手です。恨みを晴らすというより、途中で終わってしまったものを最後まで見届ける。そういう性質のものではないかと思います。
もちろん、一番は「日本を守るため」という任務でしょう。それが前提です。ただ、そこに野崎個人の後悔や思いが影響している可能性はあると思っています。
仲間を差し出してまで潜入した理由。それが5年前にあるのなら、腑に落ちます。
■もう一つの謎、1億2600万円
ここからは別の話です。
第15話で、野崎から東条に振り込まれた金額が出てきました。1億2600万円。乃木も「この金額には何か意味があるのでは」と疑っていました。
そして思い出してほしいのが、野崎がチンギスに残したメッセージです。
「天網恢恢疎にして漏らさず」という言葉とあわせて、野崎はこうも言っていました。
「それはまるでπのような、永久に割り切れない世界に身を置いている」
πです。
■実際に計算してみました
先に書いておくと、劇中で「この金額をπで割れ」と言われたわけではありません。野崎がπに言及していたことと、東条への送金額を組み合わせた、ネット上の考察です。
それでも気になったので、実際に計算して地図に入れてみました。
- 126,000,000 ÷ π = 40,107,045.659…
- これを 40.1070 / 45.6591 と読む
- 地図に入れると、アルメニアのゲガルクニク地方付近
アゼルバイジャンとの国境に近い地域です。
第15話で野崎が向かったとされるゴルバド共和国は架空の国なので、実在の地図と比べようがありません。それでも、いま物語が扱っている中央アジア・コーカサス方面に落ちるのは事実でした。

■なぜπなのか
ここが引っかかっています。
πで割るのと、3.14で割るのでは、結果が違ってきます。3.14はあくまで近似値だからです。
実際、3.14で割ると別の数字になり、そちらは北朝鮮方面を指すという読み方も出ています。第15話の最後で「北朝鮮への諜報活動」が語られたことを考えると、こちらにも意味が出てきます。
そして野崎は、劇中で「π」と言っていました。「3.14」ではなく。
もし本当に座標を示す暗号なら、正確なπで計算しなければ、正しい場所には辿り着けないことになります。そこまで設計されているとしたら、かなり手が込んでいます。
もっとも、これは考察の域を出ません。ただ、台詞と金額の両方が揃っているのは事実です。
■テントと孤児院について
予告では、もう一つの流れも示されています。
「物語の鍵を握るのは──テント」「テントに一体何があるのか」という字幕。そして乃木の「シンシーではなく、我が日本が手に入れるために」という言葉。
私は第14話の記事で、シンシー側が「孤児院」という言葉に強く反応していたことを書きました。あの反応を見る限り、そこで終わる話ではないと。
その予想が、ここでつながってきそうです。テントが運営していた孤児院に、何かがあるのではないか。
■ジャミーンは、本当にアディエルの実子なのか
そしてもう一つ、引っかかっていることがあります。
第2シーズン第1話で、ベキが「また一人にさせてしまったな」という趣旨のことを言っていました。
「また」なんです。
ジャミーンがアディエルと血のつながった実子なら、アディエルが亡くなるまで「一人」になる状況はなかったはずです。それなのに「また」と言っている。それ以前にも一人だった時期があったのではないか。
もしジャミーンがもともと孤児だったのなら、テント、孤児院、ジャミーンという線がつながります。ハンが「孤児」に反応した理由も説明がつく。
もちろん、台詞の言い回しひとつを根拠にした話なので、単なる深読みかもしれません。
■2026年8月29日時点の、私の予想
放送前に、書き残しておきます。
- リュウは、シンシーに関わる調査をしていて殺された
- チョウ・ケイシがリュウを裏切った。そしてまだ生きている
- 野崎の潜入には、リュウへの後悔も影響している
- リュウ本人は生きていない
- 1億2600万円は暗号。何らかの場所を示している
- ジャミーンは、もともと孤児だった可能性がある
- 新庄は生きている、または遺体に何か仕掛けがある(これは特に根拠が薄い予想です)
チョウ・ケイシの件は、材料がほとんどない状態での予想です。外れる可能性は高いと思います。
それでも書いておきます。
■まとめ
第15話を観たとき、5年前の2人の名前にはピンときていませんでした。
それが、第1シーズンを見返して変わりました。リュウ・ミンシュエンは、野崎が乃木を気にかけていた理由そのものだった。
そして予告では、その飛行機の中の会話が実際に使われていました。2023年に何気なく流れていた場面が、いま物語の起点として提示されている。
「始まりが明かされる」という言葉が、それを示しています。
この作品は、こういうことをやってきます。
答え合わせは放送で。
前回の答え合わせは第5話の感想・考察に、これまでの記事は『VIVANT』第2シーズン 感想・考察まとめにすべてまとめています。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
