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Netflix『九条の大罪』レビュー|柳楽優弥が演じる”悪徳弁護士”は、実は誰より信念の人だった

法廷を支配する弁護士 日本ドラマ
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Netflixで配信中の『九条の大罪』を観ました。

『闇金ウシジマくん』の真鍋昌平さんによる人気漫画を、柳楽優弥さん主演で実写ドラマ化した、2026年4月配信のクライムサスペンスです。

正直、最初はそこまで期待していなかったのですが——観始めたら意外とハマってしまい、気づけば全10話を一気見。
それどころか、続きが気になって原作マンガにまで手を出してしまいました(笑)。

結論から書くと、★5の傑作です。
「悪徳弁護士」と呼ばれる男を通して、”正義と悪のグレーゾーン”を突きつけてくる、骨太の人間ドラマでした。

※物語の核心(クライマックスの結末)には触れずに書いていますが、第1話の事件の展開や重要なシーンには触れています。また本作は犯罪・虐待・薬物など社会の闇を扱った重いテーマの作品です。ネタバレや過激な題材を避けたい方はご注意ください。

■作品概要

『九条の大罪』は、2026年4月2日からNetflixで世界独占配信が始まった日本のドラマです。全10話。

原作は、『闇金ウシジマくん』で知られる真鍋昌平さんの同名漫画。
2020年から「ビッグコミックスピリッツ」で連載され、現在も続いている人気作です。

主なキャストは以下の通りです。

  • 九条間人(弁護士)…柳楽優弥
  • 烏丸真司(若きエリート弁護士)…松村北斗
  • 薬師前仁美(ソーシャルワーカー)…池田エライザ
  • 壬生憲剛…町田啓太
  • 嵐山義信(刑事)…音尾琢真

Netflix制作だけあって、地上波では難しいような社会の闇にも、かなり踏み込んで描かれています。

■あらすじ

九条間人は、半グレやヤクザ、前科者といった”社会のはぐれ者”ばかりを依頼人に抱える、異端の弁護士。

「依頼人を守るのが弁護士の仕事」という信念のもと、法の力で彼らの罪を軽くしていくその姿は、世間から”悪徳弁護士”と非難されています。

正義か、悪か。
簡単には答えの出せないグレーゾーンの世界で、九条は何を背負い、何のために戦うのか——。

■第1話のひき逃げ事件が、九条という男のすべてを物語る

この作品にハマるかどうかは、第1話の序盤で決まると思います。

そこで描かれるのが、あるひき逃げ事件の弁護です。
これが、九条という弁護士がどういう人間なのかを示す、最初のモデルケースになっています。

依頼人は、スマホゲームをしながら飲酒運転をして、保育園帰りの親子をはねてしまった男・森田。
父親は死亡、後ろに乗っていた幼い息子は重傷を負います。

「20年も入りたくない」と駄々をこねる森田に対し、九条は冷静に証拠を消す指示を出していきます。
この時点では、まさに”悪徳弁護士”そのものに見えます。

ところが九条は、事件に違和感を覚えます。
ドライブレコーダーの映像、現場の出血の状況、そして被害者の父親が過去に心臓疾患で通院していたカルテ——。
そこから、父親はひかれる前にすでに心臓発作で亡くなっていた可能性が浮かび上がります。

相棒の若手弁護士・烏丸は、依頼人の森田を「昼間から酒を飲んでゲームに夢中になるようなクズだ」と吐き捨てます。
九条も「なかなかのクズですよね」と同意する。
でも、続けてこう言うんです。

今はクズかどうかは関係がない。森田がはねたとき、父親が生きていたか死んでいたか、それだけだ——と。

そして九条は、見事に執行猶予を勝ち取ります。
人を死なせた(ように見えた)男が、あっさりと釈放されていく。

■「無知は罪」——突きつけられる弁護士という仕事の重さ

このエピソードで、私が一番考えさせられたのが、その後のシーンです。

被害者の親子は、弁護士をつけなかったために、保険会社に言いくるめられて不当に低い金額で示談させられていた——という事実が明かされます。
もし適切な弁護士がついていれば、本来受け取れたはずの金額には、大きな開きがありました。

それを聞いた九条が、こうつぶやきます。

無知というのは、本当に罪ですね。

この一言が、胸に刺さりました。

私はもともと、弁護士という仕事は、法律に詳しくない弱者を助けられる唯一の存在で、本当に素晴らしい資格だと思っています。
できることなら、弁護士には弱者の味方でいてほしい。

でも現実には、費用は高く、無料相談の時間も限られ、内容や相手によっては引き受けてもらえないこともある。
そういう”現実”を踏まえると、九条の「依頼があれば誰でも引き受ける」という姿勢の意味が、だんだん分かってくるんです。

森田の弁護のあと、九条は依頼人ではない被害者側にも、別の人物を介してそっと助言を残していました。
表立っては手助けしないけれど、陰では相手側にも手を差し伸べている。
“悪徳弁護士”と呼ばれる男の、本当の姿が垣間見える瞬間でした。

■「悪徳弁護士」ではなく「信念の弁護士」

観終わって思ったのは、九条は悪徳弁護士なんかじゃない、ということです。

彼は、自分の信念に基づいて弁護を引き受けているだけ。
その背景には、過去のある出来事(18年前の、ある殺人事件)で、世論に流された「人民裁判」のような判決が下されたことへの、根深い不満があります。

「事実より感情を重視した裁判じゃないか」——その問いが、九条の原点になっている。

九条自身、こう語ります。法律と道徳は分けて考える。道徳上許しがたいことであっても、依頼人を守るのが弁護士の使命だ、と。
そして、「依頼人を守れば、その相手を不幸にする。我々弁護士は、常にその罪を背負って生きていかなければならない」とも。

信念を持ちながら、それでも葛藤している。
そんな九条の生き様に、いつのまにか引き込まれていました。

■キャストの演技について

柳楽優弥さんの九条は、本当に良かったです。
これまでもいろんな役を演じてきた方ですが、どの役もしっくりくる。今回の”信念を抱えた異端の弁護士”も、見事にハマっていました。

町田啓太さんの壬生も、半グレ役がかっこよかった。
後藤剛範さんの半グレ役も、いかにも悪そうで怖く、タトゥーがよく似合っていて、画面の説得力がありました。

ヤクザ役のムロツヨシさんは、冷酷さと怖さをしっかり演じていて、個人的には嫌いではありませんでした。
ただ、ムロツヨシさんというと別のイメージを持つ人も多いので、この配役は人によって好みが分かれるかもしれません。

■ドラマを観て、つい原作まで読んでしまった

冒頭にも書きましたが、私はこのドラマが面白すぎて、観終わった後に原作マンガまで読んでしまいました(笑)。

ドラマ→原作の順で読んだのですが、キャラクターにほとんど違和感はなかったです。
強いて言うなら、松村北斗さんが演じる烏丸真司が、原作のイメージと少し違うかな?と感じたくらい。決して悪いわけではないのですが。

原作もまだ連載中なので、ドラマで気になった方は、原作で続きを追ってみるのもおすすめです。

私はドラマを観たあと、続きが気になってRenta!で原作を1巻ずつ読んでいきました。1冊ずつ手軽に買えるので、「まずは試しに数巻」という読み方ができるのが良かったです。気になった方はのぞいてみてください。

■どこまでがリアルなのか、気になって調べてしまった

もうひとつ余談を。

反社会的な立場の人を弁護するというこの設定が、現実にどこまでありえるのか気になって、ドラマを観た後に、実際に元ヤクザで弁護士になった方が解説している対談動画まで観てしまいました(笑)。

裏社会の細かい描写がどこまでリアルなのかを読み解いていく内容で、ドラマの余韻を別の角度から楽しめました。
作品にここまで興味を持たせてくれたという意味でも、良いドラマだったなと思います。

参考までに、私が観たのはこちらの動画です。気になった方はあわせてどうぞ。

■こんな人におすすめ

  • 柳楽優弥さん、町田啓太さんが好きな人
  • 「正義か悪か」を考えさせられる重厚なドラマが好きな人
  • 弁護士・法律もののドラマが好きな人
  • 社会の裏側を描いたリアルな作品に惹かれる人
  • 『闇金ウシジマくん』のような作風が好きな人

逆に、次のシーズンに続く終わり方なので、1作できれいに完結する物語を求める人には合わないかもしれません。
犯罪や虐待など、重い題材が苦手な人も注意が必要です。

■まとめ

★★★★★(5点満点中5点)

「悪徳弁護士」と呼ばれる男を通して、正義と悪のグレーゾーンを突きつけてくる、見応えのあるクライムサスペンスでした。

第1話のひき逃げ事件で「無知は罪」という言葉に胸を抉られ、九条という男の生き様に引き込まれ、気づけば一気見。
そのうえ原作にまで手を出してしまったのですから、私にとっては文句なしの★5です。

続編に続く終わり方なのでスッキリとはしませんが、それも含めて「続きが観たい」と思わせてくれる、力のある作品でした。

Netflixで独占配信中なので、気になった方はぜひ。
見始めたら、意外とハマります。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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