Amazonプライム・ビデオで『Mr.ノボカイン』(2025)を観ました。
「痛みを感じない男が、恋人を救うために戦う」。設定を聞いた時点で気になっていた一本です。
観終わっての率直な感想は、派手なアクション映画というよりも、「痛みを感じない」という設定を最大限に活かしたアイデア勝負のアクションコメディだった、というものでした。
★★★★☆(5点満点中4点)
- ひとことで言うと:「痛みゼロの体」だけを武器に戦う、設定勝ちのアクションコメディ
- こんな人におすすめ:リアリティより発想の面白さを楽しみたい/ブラックユーモアが好き/『Mr.ノーバディ』系が好き
- 気になる点:ストーリーはシンプルで展開が読める、痛々しい描写が多め(R15+)
- 配信:Amazonプライム・ビデオ 見放題
気になった方は、下記から視聴できます。
月額600円(税込)
※配信状況は変更される場合があります。
※本記事には作品の重要なシーンや結末に関する記述が含まれます。未視聴の方はご注意ください。前半はネタバレなしで書いています。
■作品概要
2025年のアメリカ映画。原題は『Novocaine』。日本公開は2025年6月20日。
監督はダン・バークとロバート・オルセン。『ヴィランズ』などを手がけてきたコンビです。上映時間は110分、レイティングはR15+。
主演は、ドラマ『ザ・ボーイズ』のヒューイ役で知られるジャック・クエイド。デニス・クエイドとメグ・ライアンを両親に持つ二世俳優です。
恋人シェリー役に『プレデター:ザ・プレイ』のアンバー・ミッドサンダー。ネイトの親友ロスコー役に、『スパイダーマン』シリーズのネッド役でおなじみのジェイコブ・バタロン。
そして強盗団のリーダー・サイモン役は、ジャック・ニコルソンの息子であるレイ・ニコルソン。主演のクエイドと合わせて、二世俳優同士の対決という構図にもなっています。
ちなみに「ノボカイン」とは局所麻酔薬の名前です。これが主人公のあだ名になっている理由は、劇中で明かされます。
■あらすじ
主人公のネイサン(ネイト)・カインは、生まれつきどんな痛みも感じない体質を持つ、真面目な銀行員。
痛みを感じないというのは、一見すると便利に思えます。でも実際には、ケガや異常に気づけないという命に関わるリスクを抱えているということ。ネイトは細心の注意を払いながら、慎重に、そして静かに生きてきました。
そんな彼の人生を変えたのが、同僚のシェリーとの出会いでした。
ところが幸せもつかの間、彼の勤める銀行にサンタクロースの扮装をした強盗団が押し入り、シェリーが人質として連れ去られてしまいます。
戦闘力ゼロのネイトが、彼女を助け出すために使える武器は、「痛みゼロ」の体だけ——。
■「普通の人なら絶対にできない行動」の連続
この作品最大の見どころは、ネイトの体質を利用した戦い方です。
熱した油の中に落ちた銃を素手で取り出して、そのまま反撃する。
敵から拷問を受けても痛みを感じないので、わざと苦しそうに演技をして相手を油断させる。
「普通の人なら絶対にできない行動」が、次々と描かれていきます。この一点突破の発想が、最後まで作品を引っ張っていました。
グロテスクな描写はかなりあります。ただ、「痛みを感じない」という設定があることで、残酷さよりもブラックユーモアや爽快感のほうが勝っていた印象です。
ネイト本人は平然としているのに、観ているこちらが「痛い痛い」と顔をしかめてしまう。この妙なズレが、そのまま笑いになっている作品でした。
■無痛だけど、無敵ではない
この作品が上手いのは、「痛みを感じない=最強」にしていないところです。
ネイトは痛みを感じないだけで、不死身ではありません。殴られれば流血するし、致命傷を負えば当然死ぬ。だから常に逃げ回っているし、圧倒的に強いという場面はほとんどありません。
むしろ「痛みで危険を察知できない」ぶん、彼は誰よりも死に近いところを歩いています。
だからこそ、彼が身を投げ出して危険に飛び込んでいく姿には、自然と応援したくなりました。無敵の男が無双するのではなく、ただの気弱な銀行員が、たった一つの体質を頼りに命を削っている。その必死さが、この映画の核だと思います。
■ジャック・クエイドという配役の妙
ネイトを演じるジャック・クエイドは、『ザ・ボーイズ』でもヒーローに立ち向かう「ただの男」を演じていました。
今作でも、特別な能力があるわけでもなく、体を張って必死にもがく。その「過剰なほど一生懸命」な佇まいが、この役に本当にハマっていました。
親しみやすさを失わないまま作品を引っ張っていく。この俳優のキャスティングは、成功だったと思います。
■ここから【ネタバレあり】です
※以下、物語の重要な展開と結末に触れます。未視聴の方はご注意ください。
■シェリーの正体という仕掛け
物語の途中で、ネイトが命懸けで助けようとしていた恋人・シェリーが、実は強盗事件を起こした犯人グループの一人であるサイモンの妹だったことが明かされます。
この展開には驚かされました。
ただ、シェリー自身が完全な悪人というわけではありません。兄との関係や、彼女が抱えていた過去の事情も描かれていたため、単純な裏切りとは感じませんでした。
そして、その事実を知ってもなお、ネイトが彼女を信じて助けようと決意する。この姿が、この作品のラブストーリーとしての軸をしっかり支えていたと思います。
裏切りが明かされた瞬間に「じゃあもう助けない」となっていたら、この映画はただのアクションで終わっていました。そうしなかったからこそ、最後まで応援できたのだと思います。
■骨さえ武器にする、あの終盤
終盤、ネイトは腕の骨が折れて、皮膚を突き破ってしまうほどの大ケガを負います。
普通ならそこで終わりです。ところがネイトは、そのむき出しになった骨さえ武器として利用して、敵に立ち向かっていく。
本作を象徴する、インパクトのある場面でした。
ここまでくると、もはやグロというより発想の勝利です。「痛みを感じない」という設定を、最後の最後までアクションのアイデアとして使い切っている。そこに徹底したこだわりを感じました。
■ラストの後味の良さ
さまざまな困難を乗り越え、最後には二人が再び結ばれます。
あれだけ体を張って、あれだけ痛い目に遭って、それでも報われる。後味が良く、娯楽作品としてきれいにまとまっていました。
アクションコメディでここまでスッキリ終わってくれると、観終わったあとが気持ちいいですね。
■正直に言うと、物足りない部分もある
一方で、ストーリー自体は比較的シンプルです。展開もある程度は予想できてしまうので、物語の深さを求める人には少し物足りなく感じるかもしれません。
ただ、この作品はそもそも緻密なストーリーを楽しむ映画ではないのだと思います。ユニークな設定とテンポの良い展開を楽しむ映画。そう割り切ったほうが、素直に楽しめます。
海外でも「ストーリーはシンプルだが、設定が面白い」「ジャック・クエイドの親しみやすい演技が作品を引っ張っている」「頭を空っぽにして楽しめるアクション映画」といった好意的な評価が多いようです。
自分もその意見には、かなり納得できました。
■こんな人におすすめ
- リアリティより、発想の面白さを楽しみたい人
- 細かいことを気にせず、気軽にアクションを観たい人
- ブラックユーモアが好きな人
- 『Mr.ノーバディ』のような「普通の男が戦う」系が好きな人
- ジャック・クエイドが好きな人
逆に、流血や骨折といった痛々しい描写が苦手な人には、かなりキツいと思います。R15+指定にはそれなりの理由があるので、そこは正直にお伝えしておきます。
また、緻密なストーリーやどんでん返しの切れ味を期待して観ると、肩透かしを食らうかもしれません。
同じく「普通の男が戦う」系のアクションとして、『Mr.ノーバディ』のレビューもあわせてどうぞ。ほかにも★4以上をつけた作品を集めたAmazonプライムおすすめ映画まとめもあります。
■まとめ
個人的な評価は★★★★☆(5点満点中4点)です。
ストーリーには少し物足りなさを感じました。展開も読めるし、深く考えさせられる作品でもありません。
それでも、「痛みを感じない」という唯一無二の設定を、ここまでアクションへ落とし込んだ作品は珍しいと思います。笑いあり、驚きありのエンターテインメントとして、最後まで飽きずに楽しむことができました。
リアリティよりも発想の面白さを楽しむ作品です。細かいことを気にせず、気軽に映画を楽しみたい夜にはぴったりの一本ではないでしょうか。
Amazonプライム・ビデオで見放題配信中です。気になった方は、ぜひ観てみてください。
月額600円(税込)
※配信状況は変更される場合があります。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

