Amazonプライムで配信中の『ワーキングマン』(2025)を観ました。
ジェイソン・ステイサム主演、監督は前回レビューした『ビーキーパー』と同じデヴィッド・エアー。
一言でいうと、拉致された恩人の娘を救い出す、シンプルな救出アクションです。
アクションはステイサムならではで安定の見応え。
ただ、ビーキーパーに比べるとアクションは少し現実寄りで、物語もシンプルめ。
その分、人身売買という重いテーマを真正面から扱った作品でした。
※物語の核心(クライマックスの結末)に触れる箇所があります。後半の「ラスト」の項目は、未視聴の方はご注意ください。冒頭で改めて警告します。
■作品概要
『ワーキングマン』は、2025年に公開されたアメリカのアクション映画です。
主演はジェイソン・ステイサム。
監督は『ビーキーパー』に続いてデヴィッド・エアー。
ステイサム×エアーのコンビ作という点でも、ビーキーパーと並べて観たくなる一本です。
主人公は、建設現場で真面目に働く”労働者(ワーキングマン)”レヴォン・ケイド。
しかしその正体は、元特殊部隊の凄腕という設定です。
現在Amazonプライム・ビデオで配信中です。
■あらすじ
建設現場で静かに働き、娘と暮らすレヴォン・ケイド。
ある日、彼の雇用主の娘ジェニーが、人身売買組織に拉致されてしまいます。
ケイドが普通の労働者ではない”特殊な人物”だと感じ取った雇用主は、彼に娘の救出を依頼します。
一度は断るケイド。
しかし、恩義と、ジェニーとの深い交流が、彼の心を揺さぶります——。
■「養蜂家」と同じ”静かに暮らす元プロ”の構図
観ていてまず感じたのが、ビーキーパーとよく似た構図です。
「静かに暮らす元プロが、悪を許さず一人で殴り込む」——根っこにあるのは、まさにこの一行。
立ち向かう悪党は別物ですが、物語の骨格はかなり近い印象を受けました。
ただ、正直に言うと、『ワーキングマン』というタイトルにこめられた物語的な仕掛けは、ビーキーパーほどは感じませんでした。
ビーキーパーが”蜂”のモチーフを世界観として作り込んでいたのに対して、こちらは「娘がいて、引退して静かに暮らそうとしている男」というキャラクター像はしっかり伝わるものの、タイトルが物語を引っ張るような深みはシンプルめ。
もっとも、シンプルだからこそ素直に楽しめる、という見方もできると思います。
■依頼を受けるまでの”葛藤”が良かった
本作で個人的に印象に残ったのが、ケイドが救出を引き受けるまでの心の動きです。
雇用主から「娘を救ってほしい」と頼まれたとき、ケイドは一度断ります。
でも、内心ではずっと葛藤していたように見えました。
そして彼は、かつての元同僚のもとを訪ねて相談するんです。
同僚は、やるなら全力でやれ、中途半端ではダメだ、と背中を押す。
これ、たぶん心の中ではもう答えは決まっていたんですよね。
ケイドは、同僚に後押ししてほしかったのだと思います。
恩義を感じていたこと、そしてジェニーと深く交流していたこと。
その両方が、彼を動かしていく。
とはいえ、恩義があってもここまでやれる人はそういません。
このあたりは、やはり”ステイサムだからこそ”のヒーロー像だなと感じました。
■人身売買という重い題材
本作で立ち向かう悪は、少女を狙う人身売買組織です。
特殊詐欺が題材だったビーキーパーとは、怒りの種類が少し違いました。
海外では、こうした人身売買が現実に身近な問題としてあるのかもしれない——そう考えると、純粋に怖いと感じました。
スカッとするというより、ずっしりとした重さの方が記憶に残るタイプの題材です。
そして、この重いテーマに一人で立ち向かっていくところに、本作の醍醐味があります。
■アクションは”現実寄り”、一つずつ悪を潰していく
アクションについては、ビーキーパーよりも現実的な手触りでした。
圧倒的に敵を倒していくのは変わりませんが、前半はジェニーの居場所を探るために、一つひとつ悪党を潰して手がかりを辿っていく——という地道な積み重ねの展開。
途中、ケイド自身が拘束される場面もあります。
それでも結局は敵を倒して脱出してしまうあたりは、安心して観ていられるステイサム印です。
ビーキーパーのような”FBIの特殊部隊すら次々と圧倒する”という派手な無双感とは、少しタイプが違うアクションでした。
■守る対象が”生きている”という強み
本作とビーキーパーで大きく違うのが、”守る対象”への感情移入度です。
ワーキングマンでは、雇用主の娘ジェニーが生きていて、彼女を助け出すことが目的になります。
「生きている人を救い出す」という展開は、観ているこちらの感情移入もぐっと強くなりました。
一方ビーキーパーは、恩人がすでに亡くなった後の物語。
復讐と”ビーキーパーとしての責務”を全うする、という色合いでした。
感情移入のしやすさという点では、間違いなくワーキングマンの方が上だと感じます。
■ラスト:悪役側から描かれる、印象的な幕引き
※ここからは結末に触れます。未視聴の方はご注意ください。
ケイドはジェニーを助け出し、バイクに乗せて連れ去っていきます。
それを見届けた組織のメンバーが、上層部に電話で報告する。
すると組織は「目的は果たしたのだから、もう放っておけ」と告げます。
でも、その男は納得がいかない。
あの男(ケイド)に、息子たちを殺された——その侮辱には耐えられないと訴えます。
組織の答えは冷酷でした。
「それなら君を殺す」「個人の恨みより、組織を優先しろ」と。
最終的に男は「わかった」と言って電話を切ります。
けれど、その直後にあげる悲痛な叫びが、強烈に印象に残りました。
主人公ではなく、悪役側の視点で締めくくるこのラスト。
「悪の組織も、とんでもない相手に手を出してしまったな」と思わせる、後味のある幕引きでした。
(目的を果たした後なので、観終わった安心感はちゃんとあります)
■『ビーキーパー』との比較は別記事で
今回の『ワーキングマン』と、前回の『ビーキーパー』。
同じデヴィッド・エアー監督・ステイサム主演で、構図もよく似た2作です。
どちらが好みか、アクションの質はどう違うか——といった本格的な比較は、別記事でじっくり書く予定です。
先に少しだけ触れておくと、アクションの満足度や物語の作り込みではビーキーパーに軍配。
一方、”守る対象”への感情移入のしやすさはワーキングマンの方が上、というのが私の正直な感想です。
■こんな人におすすめ
- アクション映画が好きな人
- ジェイソン・ステイサムが好きな人
- 「誰かを救い出す」タイプの救出劇が好きな人
- 派手すぎず、現実寄りのアクションが観たい人
- ビーキーパーを観て、同系統の作品をもう一本観たい人
逆に、ビーキーパーのような派手な無双アクションや、作り込まれた世界観を期待すると、少し物足りなく感じるかもしれません。
■まとめ
★★★☆☆(5点満点中3点)
拉致された娘を救い出す、シンプルで分かりやすい救出アクションでした。
ステイサムのアクションは安定の見応えですし、依頼を受けるまでの葛藤や、生きている少女を助け出す展開は、しっかり感情移入できました。
ただ、正直なところ、爽快感やアクションの派手さでは『ビーキーパー』に一歩譲るというのが私の評価です。
人身売買という重い題材もあって、スカッと一辺倒では観られない作品でもあります。
とはいえ、ステイサム好き・救出劇好きなら、十分に楽しめる一本。
ビーキーパーとセットで観ると、同じ監督・主演で何が違うのかを味わえて面白いと思います。
Amazonプライム・ビデオで配信中なので、気になった方はぜひチェックしてみてください。
次回は、いよいよ『ビーキーパー』と『ワーキングマン』を徹底比較する記事を書く予定です。
同じ監督・同じ主演、似た構図の2作、結局どっちを観ればいいの?——その答えをまとめます。お楽しみに!
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

