PR

草彅剛『碁盤斬り』レビュー|囲碁を知らなくても刺さる、静かで深い時代劇

碁盤と碁石と刀 邦画レビュー
記事内に広告が含まれています。

NetflixとAmazonプライム・ビデオで配信中の映画『碁盤斬り』。
草彅剛さん主演の時代劇ということで、痛快なチャンバラを想像していたのですが、観終わってみると、まったく違う種類の余韻が残る作品でした。

派手な殺陣で魅せるのではなく、碁盤を前に囲碁を打つことで、柳田格之進という男の生き様そのものを描いていく。
そんな、渋くて深い一本だったので感想を書いておきます。

※物語の核心(クライマックス)には触れずに書いていますが、一部の展開には触れています。ネタバレを完全に避けたい方はご注意ください。

■作品概要

『碁盤斬り』は、2024年5月に公開された日本の時代劇映画です。
古典落語の演目「柳田格之進」を原案に、『孤狼の血』などで知られる白石和彌監督が、初めて時代劇に挑んだ作品です。

主演は草彅剛さん。
共演に清原果耶さん、中川大志さん、奥野瑛太さん、音尾琢真さん、市村正親さん、斎藤工さん、小泉今日子さん、國村隼さんと、錚々たる豪華な顔ぶれが集まっています。

配信は、2024年9月20日よりAmazon Prime Videoで見放題独占配信中です。
プライム会員なら追加料金なしで観られるので、気軽に手を伸ばせる一本です。

■あらすじ

浪人・柳田格之進は、身に覚えのない罪をきせられた上に妻も喪い、故郷の彦根藩を追われた身。
娘の絹とふたり、江戸の貧乏長屋でつつましく暮らしています。

かねてから嗜む囲碁にも、その実直な人柄がそのまま表れていて、嘘偽りのない勝負を心掛ける格之進。
やがて商人・萬屋源兵衛(國村隼)と碁を通じて知り合い、ふたりは交流を深めていきます。

しかしある日、旧知の藩士から、彦根藩での悲劇の真相を知らされた格之進は——。

■囲碁で描く、一人の男の生き様

この映画がユニークなのは、痛快なチャンバラ時代劇とは違い、碁盤を前に囲碁を打つことで、柳田という男の生き様を表現しているところです。

復讐の相手である柴田兵庫(斎藤工)との対決も、まずは囲碁で行われます。
刀ではなく碁石で向き合うことで、人と人の駆け引きや、本性のようなものが静かに浮かび上がってくる。

囲碁や将棋、麻雀といった盤上の勝負は、その人の性格が出るものだと思います。
私は囲碁のルールは知りませんでしたが、それでも十分に楽しめました。
むしろ碁のシーンは多すぎず、知識がなくても作品の魅力はしっかり伝わってきます。

■鬼が仏となる、源兵衛との交流

個人的に印象に残ったのが、萬屋源兵衛との関係の変化です。

柳田と源兵衛が囲碁を通じて交流するうちに、源兵衛は格之進の嘘偽りない勝負と、その人品、碁の腕前に感銘を受けていきます。
それによって、ケチだった源兵衛の心が少しずつ変わっていく。

言うなれば、鬼が仏となるような変化です。

剣の腕も立ち、礼儀正しく、まさに武士の鑑のような柳田。
その人柄が、相手すらも静かに変えていく様子は、この物語の大きな見どころだと感じました。

ちなみに囲碁の世界では、石を介して盤上で相手と心を通わせることを「手談」と呼ぶそうです。
源兵衛が碁を通じて変わっていく姿は、まさにこの言葉そのものだなと、観終わってから思いました。

■唯一のアクションが残した、武士の一面

本作は派手な斬り合いがほとんどない作品ですが、終盤に柴田兵庫との刀で戦うシーンがあります。
私が観たかぎり、これが唯一とも言えるアクションシーンでした。

囲碁をモチーフにした物語のなかで、あえてここだけ刀を抜かせたのは、柳田という男に残された、唯一の武士らしい一面を描くためだったのかもしれません。

派手さを求める作品ではないからこそ、この一瞬が静かに効いてくる。
そんな印象を受けました。

■草彅剛の演技がしっくりくる

そして、やはり触れておきたいのが草彅剛さんの演技です。

口数が多いわけではなく、表情も大きく変わらない。
それでいて、自分の信念をしっかり持ち、それを頑なに曲げない柳田格之進。

この難しい役を、草彅さんは見事に演じていました。
武士としての佇まいがしっかり表現できていて、とてもしっくりきていたと思います。さすがの一言です。

■こんな人におすすめ

・囲碁や将棋など、盤上の勝負が好きな人
・草彅剛さんの演技を観たい人
・派手なアクションよりも、人間の内面を描いたドラマが好きな人
・武士の斬り合いは多くないけれど、時代劇の雰囲気を味わいたい人

逆に、痛快なチャンバラや派手な殺陣をたっぷり期待していると、少し物足りなく感じるかもしれません。
そこは観る前に知っておくと、より楽しめると思います。

■まとめ

私の評価は ★★★★☆(5点満点中4点) です。

『碁盤斬り』は、単純な勧善懲悪の痛快時代劇ではありませんでした。
格之進の中に長年封印されていた怒りと復讐心が、静かに、しかし確かに晴らされていく。
そんな、渋くも深い人間映画だと感じました。

囲碁を知らなくても楽しめますし、草彅剛さんの落ち着いた演技と、源兵衛との心の交流が、観終わったあともじんわりと残ります。

NetflixとAmazonプライム・ビデオの両方で配信中なので、気になった方はぜひチェックしてみてください。

AmazonPrimeVideo

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

タイトルとURLをコピーしました